FMSに関する所感

見た目のファンシーさと特別な事を行っている感じがすることから大衆ウケが良く、

急速に普及した感のある「FMS(ファンクショナルムーブメントスクリーン)」

先日、某フィットネスクラブ本社で開催されたセミナーに参加してきました。

FMS認定セミナーに来てもらうための宣伝的要素の強いセミナーなので、FMSのメリットを多く語っていましたが、FMSのスコアが良い選手は、しっかりウエイトトレーニングと競技練習をしましょうという言葉には好感を持ちました。

□FMSの目的

「アスリートが少ない障害リスクで競技活動に参加するために必要な基本動作を行えるかを決定すること」です。

まずはトレーニングを行う前に動作評価して障害予防に努めようというコンセプトは嫌いではありませんが、他の評価方法と同様にして数多くある評価方法の中の一つに過ぎません。

評価方法で大切な事は、信頼性と妥当性が高い事です。

これは、FMSにおいても同様であると考えています。

1997年に開発されたFMSはまだ新しいものなので十分な客観的なデータもなく、そのテストの感度自体がそれほど高くないので(18〜84%、中央値は54%)、その目的に対する妥当性は低いです。

□FMSに関する個人的な疑問

・傷害リスクの高い高いアスリートをFMSで確実に抽出できるのか?

・開発者の臨床経験に基づく7つの動作パターンで評価しているが、競技動作はそれのみに限定されず、さらには動作スピードや負荷が異なれば、動作パターンも異なるため全てのアスリートに当てはまるのか?

・10分程度でテストを実施する事が本当にできるのか?それほどの時間をかけてまで行う価値があるのか?

・本当に測定者の違いで結果に大きな違いはないのか?

・仮にFMSが妥当性の高い評価方法だったとしても、コレクティブエクササイズ、ファンクショナルトレーニングが他のエクササイズの効果とどれほど違うのか?

 

□個人的な感想

FMSは評価を点数で表し定量化するので評価結果がわかりやすい点は良いのですが、テスト自体の妥当性がそれほど高くないので盲目的に信じ込み運用するにはまだ不十分なテスト方法である印象を受けます。

普段から選手のトレーニング風景を観察して、エラーテクニックを見つけ、ファンクショナルトレーニングにこだわらず各個人に適切なエクササイズをウォーミングアップやトレーニングのセット間に意識付けのために実施し、可動域を最大限に利用してウエイトトレーニングを実施することで充分代用できる。

日々様々な方法論が世の中に生まれてきますが、単に流行ってるからという理由だけで何でもかんでも取り入れずに限られた時間の中で効率よく安全に効果の出せる方法を導き出す事がパーソナルトレーナーとしての役割だろうと考えています。

 

※参考文献

ファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS):レビュー
The Functional Movement Screen: A Review
Chris Beardsley,
1 MA Hons  Bret Contreras,
2 BSc, CSCS
1Strength and Conditioning Research Limited, Loughborough, Leicestershire, United Kingdom 2School of Sport and Recreation, Auckland University of Technology, Auckland, New Zealand